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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
1 基質合成 2,5-ジフェニル-及び2,5-ビス(4-メトキシフェニル)-3-オキサ-1,5-ヘキサジエン(1a-b),その4位,6位の重水素化体(d_2(4)-, d_2(6)-1b),及び(1a-b)のClaisen転位を(2a-b)を別途に合成した. 2 熱反応及び定常光反応の解析 熱Claisen転位の重水素速度同位体効果と,the More O'Ferral Jencks Diagramの解析から,1aの熱Claisen転位の遷移状態(TS)はやや2-オキサシクロヘキサ-1,4-ジイル(3)の性質を持つ事を明らかにした.この結果は,母体の3-オキサ-1,5-ヘキサジエンのTSがオキサアリルラジカル-アリルラジカル(4)の性質を持つ事と,対照的である.またCope転位系で指摘された,2,5-位にジフェニル置換するとTSは1,4-ジイルの性質を帯びるという性質の一般性も初めて確認された. 次に9,10-ジシアノアントラセン光誘起電子移動(PET)反応を室温で行ない,1a-bから2a-bへのClaisen転位を初めて見いだした.このPET Claisen転位はほぼ定量的に進行し,1aのCH_2Cl_2中の反応で極限量子収率0.256を示した.またd_2(4)-,及びd_2(6)-1aの反応から,中間体として3^<・+>が介在している事が示唆された. 3 レーザー分光法の適用 時間分解レーザー分光法を適用し中間体の観測を試みたところ,1b,2bからそれぞれ670nm,684nmに吸収極大を持つ過渡吸収が観測された.これらの帰属については現在検討中である. 4 今後の展望 今後はPET Claisen転位がPET Cope転位と同様に「カチオンラジカル環化-ビラジカル開裂機構」で進行しているか否かを明らかにし,さらに有機合成化学への応用へと展開していかなくてはならない.これら残された問題ついては,来年度以降の研究課題としたい.
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