Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
微生物を用いたα,β-不飽和ケトンの不斉還元において,反応の官能基選択性つまり1,2-還元と1,4-還元の選択性を制御し,更にその立体選択性をも制御することで高立体選択的な不斉合成反応を開発することが申請者の計画である.微生物としては最も汎用的なパン酵母を選び,反応基質は3-メチル-4-フェニル-3-ブテン-2-オンを基本骨格として系統的な検討を行った. 本反応では1,4-還元つまり炭素-炭素二重結合の還元が選択的に起こり光学活性なケトンが得られるが、その立体選択性は低い.フェニル基上の置換基の種類と位置を系統的に検討したところ,オルトあるいはメタ位に置換基がある場合に飛躍的に選択性が向上し,不斉収率95%以上で光学活性なケトンが得られた.この場合,置換基の種類は立体選択性に無関係であり常に高い不斉収率で生成物が得られる.その他の置換基についても検討したところ3-位のメチル基をエチル基にした場合に立体選択性は飛躍的に向上し,不斉収率95%以上で光学活性なケトンが得られた.この場合はフェニル基上の置換基の有無に関わらず,常に高い不斉収率で生成物が得られる.この様にして本反応では置換基の位置が立体選択性を支配する最も重要な因子であることを明らかにし,高立体選択的な光学活性ケトンの合成法を確立した. 次に,反応の官能基選択性の制御について検討したところ,4-位の芳香環の種類を変えることによって制御できうることを見出した.芳香環をフランのような複素環にした場合に1,2-還元つまりカルボニル基の還元が選択的に起こり,光学活性な不飽和アルコールが得られる.この場合の生成物の立体選択性は非常に高く,95%以上の不斉収率で不飽和アルコールが得られる.この様にして官能基選択性の制御には置換基の種類が重要であることを明らかにし,光学活性な不飽和アルコールの合成法を確立した.
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