Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では、脳内のエストロゲン受容体タンパク(ER)にいくつかの変異型が存在し、かつその機能が異なる可能性があるので、解析を行った。当該研究者は、これまで、発生成長に伴う正常型ERの発現調節の機構に注目し検討し、ERタンパクの出現の程度が雌雄で異なり、雄での発現は雌に比べて有意に低値を示すことを観察した。一方、ER mRNAの発現については、ERタンパクが減少するにもかかわらずER mRNAの発現は低下しない脳内領域が存在する事実を見出した。この現象は脳内領域における変異型遺伝子の発現の差に起因する可能性が考えられたので、変異型ERの解析を行った。その結果、ERの変異型であるDelta4(ER-D4)が新生仔ラットの脳に発現している事実を見出した。本年度は、これらの観察に基づいて解析を進め、次の結果を得た。 (1)ER-D4の発現は、正常型の発現と比べると少なく、1/10程度であった。RNase protection assayによる定量解析の結果、雌雄間及び脳の領域間での発現の量はほぼ等しかった。これらの事実から、ERタンパクが減少しているにもかかわらずER mRNAの高い値が検出された現象はER-D4によるものではないことが示唆された。 (2)次に、D4以外にER-D5及びER-D7の発現を新生仔ラット脳で検出した。これらの、変異型の発現量はER-D4と同様に低い値であった。 (3)また、他の変異型ERの可能性を調べるために、PCR等の増幅条件を変え検索を進め、正常型の存在を示すバンドと、正常型よりも分子量の少ないバンドが検出された。PCR/Southern法により解析を進めた結果、低分子量のバンドは正常型と同様にER-cRNAプローブとhybridizeすることが明らかになった。現在、低分子量のERの塩基配列の検索を行い、新種のisoformであるか否かについて検討している。さらに、雌雄間及び脳の領域間で発現量の違いがあるかについて解析を進めている。 以上の結果の一部は、第4回国際神経科学大会(IBRO, Kyoto,9-14,July,1995:Abstract, C2..41,pp240)で発表した。
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