Research Abstract |
高分子板に純水(イオン交換水)を接触させることにより,高分子板が負に,純水が正に帯電することが知られている.本研究では純水を接地した注射針を通してテフロン板に連続的に流下し,テフロン板表面及び純水の帯電状態と流下速度及び板の傾斜角度の関係を調査し,以下のことを明らかにした. 注射針から流出した純水がテフロン板上を流下する際,流下速度によって,(1)テフロン板に到達する前に液滴に分裂し,板上を液滴群として流下する.(2)水柱の状態でテフロン板に到達し,ある程度水流として流下した後,液滴群に分裂する.(3)テフロン板に到達する前に液滴に分裂するが,板上では水流として流下する形態のいずれかをとる.(1)の場合,純水はテフロン板表面を負に帯電させながら自身は正に帯電し,下流部で過剰となった正電荷を板上に残しながら流下する.その結果,テフロン板表面は上流部で負,下流部で正に帯電する.(2)の場合,下流部での正の領域および流下後の純水の帯電量が(1)の場合よりも小さくなる.これは流下点近傍において電荷が注射針を伝って緩和してしまい,下流部で過剰電荷を残せるほど純水が帯電できないためであると考えられる.(3)の場合,板上で負に帯電している領域およびそこでの表面電位は(1)(2)の場合よりも小さく,流下後の純水の帯電量も3つ場合の中で最小となる.これは水中の正電荷が水流内を移動し,板上の負に帯電した領域に集まるためである. また,純水がテフロン板に到達する前に液滴に分裂し,板上を液滴群として流下する場合,板の傾斜角が大きくなるに従って帯電領域が増加する.これは,液滴は板上の電荷による静電気力によって蛇行するが,傾斜角が小さいほどと液滴の径が大きくなる傾向があり,慣性力が大きくなるため蛇行しにくくなると考えられる.しかし,傾斜が大きすぎると,帯電領域は再び減少する.これは重力の影響が大きくなり,再び蛇行が起こりにくくなるためであると考えられる.
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