Research Abstract |
本研究ではハードディスクと磁気ヘッドの衝突(クラッシュ)による保護薄膜の損傷が大きな問題となっている点に着目し,薄膜を有する構造物に過渡的な衝撃力が作用する場合の現象について数値的および実験的な考察を行った.接着強度,膜厚,ヤング率など,薄膜構造の機械的性質を,衝撃力を用いて評価する方法について検討することを目的とした. 今年度は基礎的な検討として,カンチレバ-式の薄膜衝撃試験装置の試作に伴う数値シミュレーションを実施し,装置作成のための諸元の見積りを行った. 半球状の圧子を有するカンチレバ-をはりでモデル化し,また薄膜を弾性床モデルで近似することにより,Helzの接触理論を導入して衝撃荷重と薄膜の機械的性質との関連について数値実験を行った.その結果,衝撃荷重の大きさは,基材の性質を反映せず,概ね膜の弾性定数に比例する値を得ることが確かめられた.また基材の弾性率が大きい場合には,膜厚の変化に伴う衝撃荷重の変化は小さくなり,膜厚が小さい場合の方が,衝撃荷重の振幅が膜厚により大きく変化し得ることが明らかになった。 また,測定感度はカンチレバ-の曲げ剛性および長さに極めて依存するため,測定する膜の厚さに応じて適切なカンチレバ-を用いる必要が生ずることが明らかとなった.
|