Research Abstract |
本研究の目的は,ピストンポンプ・モータの性能を決定する主要因のひとつである球面軸受のトランボロジー特性を,実験的に明らかにすることにある.本年度は,同心荷重の作用する球面軸受の実験装置を設計,製作し,この装置を用いて球面軸受部における摩擦・流量特性および損失動力を,定常状態下において実験的に明らかにした.なお,実験結果の実用性を鑑み,本装置は実機のピストンポンプ・モータに使用される4種のピストン・アッセンブリ(ピストン、スリッパ軸受および球面軸受により構成される)を活用した.また,このピストン部を静圧ジャーナル軸受で支持し,スリッパ部(球部を含む)を電動機で回転させる方式を採用した. 実験方法は,最高供給圧力7MPa(最高荷重2.3kN),最高回転数25rpsとした幅広い作動領域において実験を行い,漏れ流量および摩擦トルクを測定し,しゅう動部の流量・摩擦特性ならびに損失動力を明らかにした.ここで,摩擦トルクは歪ゲージ式板ばねと動ひずみ計(NEC三栄製,AS2103)で測定し、これをデータレコーダ(NEC三栄製,RT3304)に取込みデータ処理を行った.実験パラメータには,供試軸受の球直径(8,10,13,16mm),供給圧力(1,3,5,7MPa),荷重,回転数(5,10,15,20,25rps)などを採用した.なお,供試流体には,石油系作動油を用いた. 本実験より,この種の球面軸受は摩擦トルクに基づく損失動力が支配的であること,損失動力は供給圧力はほぼ比例して増加すること,摩擦係数はおよそ0.1〜0.15であることなどを実験的に明かにすることができた.
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