Research Abstract |
MHD発電機のような超音速流れを利用する流体機械では,壁面摩擦による圧力損失の影響を無視することはできず,このとき発生するエントロピーの増大を可能な限り抑制することが,機器の効率を向上させる上で本質的な問題となっている.そこで本研究では,代表的な摩擦抵抗低減デバイスとして知られるリブレットを超音速ノズルの壁面に設置することにより,超音速内部流れを利用するエネルギー変換装置へのリブレットの適用について,その妥当性を判別することを目的とした実験を行った.本研究で使用した超音速ノズルは,流路幅30mm,流路長さ400mm,スロート高さ15mmの2次元ノズルであり,下壁面が平面,上壁面が曲面で構成されている.流れ場の計測は,背圧を変化させることにより種々の圧力比のもとで実施し,上壁および側壁の壁面静圧と全圧の空間分布を詳細に測定した.実験では,ノズル下壁面に平滑平板またはリブレットを取り付けて同種の計測を行うことで,リブレットの効果を検証した.なお,リブレットの断面形状は,上底0.1mm,下底0.231mm,高さ0.2mmの台形であり,これがノズルのスパン方向に0.3mm間隔で縦溝状に加工されている.上記形状のリブレットを用いて実験を行ったところ,ノズル壁面が平滑である場合に比べて,壁面静圧が流路全域にわたって低下する現象が観察された.また流れ方向に測定した全圧分布の結果から,リブレットを使用すると全圧損失の低下することがわかり,超音速内部流れに対してもリブレットの摩擦損失低減効果が確認された.このときの流路高さ方向の全圧分布を調べると,リブレット面上では境界層厚さが薄くなっており,その結果として全圧損失が現象したものと考えられる.今後は本研究の結果を踏まえた上で,放射状超音速流へのリブレットの適用についても検討を行う予定である。
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