Research Abstract |
磁気アクチュエータの非線形性について以下のような研究を行った.まず,数値解析プログラムを用いて,両側吸引方式の磁気アクチューエータがPID制御され,正弦波加振がなされているという条件で数値シミュレーションを行った.その結果,共振曲線のバックボーンカーブが傾き,得られた振動波形に加振力の周波数をもつ成分だけでなく,その奇数倍の成分が含まれていることが明らかになり,このタイプの磁気アクチュエータは,非線形特性をもつ系に特有な性質があることが明らかになった.次に,実験においては,当初,一次元のアクチュエータの解析を予定していたが,さらに複雑で興味深い,磁気軸受を模擬した二次元モデルを扱うことにした.そこで,磁気軸受のステ-タコアを水平に置き,軸に相当する円筒をベアリングボールによって支持して二次元的な運動が可能な装置を作成した.また,この軸を制御するため,変位を検出するギャップセンサ,回転角を検出する回転検出器を購入した.現在,ギャップセンサのアナログ出力から,軸の制御信号を発生するPID制御回路,その出力を磁気軸受の電磁石部に電流として印加するパワーアンプを各種電子部品を用いて製作中である.今後の課題としては,理論解析において,数値シミュレーションによってさらに色々な条件の下で計算を行い,分数調波振動などの非線形振動の発生条件を求めることや,それによって得られた知見から,理論近似式を構築し,定性的な解析を行うこと,実験において,制御回路の完成とともに,理論解析で得られた条件を実験装置上で実現し,非線形振動の発生を確認することが挙げられる.
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