Research Abstract |
建物内の廊下環境を自律移動するロボットにとって,廊下環境内での自己の位置及び姿勢を検出する機能は必要不可欠である。本研究では,廊下の幅木(はばぎ)を検出して高速に廊下画像から自己位置・姿勢を検出する方法を開発した。幅木とは,壁の床との境界部分に設置されている板で,ほぼ全ての建物に存在し,さらに壁や床の部分とのコントラストが強いため,その境界線の検出が容易である。 本方式の特徴としては,フィルタ処理等の時間のかかる計算が不要である点,及び画面中に一定に傾き角度を持つ幅木を利用しているため,廊下中の障害物(設置物,通行人等)の影響を受けにくい点が上げられる。 車輪式移動ロボットにビデオカメラを搭載し,廊下画像をビデオボードによりコンピュータに取り込み,画像解析を行った。画像解析においては,まず明度の変化の大きい点を幅木の境界点とし,その境界点を連結して線分とした。そして,一定値以上の長さを持つ線分のうち,垂直方向のものはドア,設置物等であると判断して除外し,残った線分グループの交点を廊下の無限遠点とした。次に,無限遠点の位置が画面の中央になるようにロボット(またはカメラ)を回転させて,廊下に対してロボットが平行になるようにした後,幅木の傾き角度からカメラと壁の距離を算出し,自己位置・姿勢を算出した。一度幅木を検出した後は,画面上の幅木の近傍のみを検索することによって,処理時間の短縮を図った。 さらに,システムの有効性を検証するために,同一の位置・姿勢における幅木の傾き角度の分散を求めた後,廊下中に障害物(設置物,通行人等)が存在する場合及び画面上に無限遠点が見つからない場合(この場合はカメラを回転させる)の実験を行った。
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