Research Abstract |
聴覚障害者の積極的な社会進出のためには,社会生活のさまざまな場面で聴覚障害者と健常者との間のコミュニケーションが円滑に行える環境の整備が必要である。しかし,一般に手話を理解できる人は少なく,手話通訳者が果たす役割は大変重要である.この手話通訳を支援する1つの方法として手話通訳システムが考えられている.手話通訳システムの実現には,手話動作の認識・表示および音声の認識・合成の2つの機能が要求される.前者の機能については,ヒューマンインターフェースの分野での利用が期待されており,手の形状の詳細な認識も行う必要があると考えられる.そこで,本研究では,手話通訳支援システムを実現するために,まず,手話の指文字(アルファベット)を対象とし,2方向から取り込んだ手掌部の画像を用いて特徴抽出を行うプログラムを作成し,特徴量の判定条件による手掌部の分類法を提案した.判定条件として抽出した輪郭線より手首幅,手首の中心,手掌部の方向,指長,指の伸展方向,手掌部の移動量を用いることで手掌部の形状を定量化する事ができた.これより,手掌部の画像から抽出した特徴量からアルファベット26文字中「M,N,S,T」を除く22文字について個々に分類するための判定条件を示すことができた.また,手話の動作を認識するために,特に腕部の形状について,身体の画像を2方向のカメラを用いて取り込み,抽出した腕部の輪郭情報から設定した腕部の形状を推定する規則を用いて肩,肘,手首関節の3次元空間座標を推定する手法を提案した.これより,抽出した腕部の輪郭線に関する特徴量(曲率,長さ,重心座標,周辺の画素値)を用いることで腕部の形状を定量的に扱えることがわかった.
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