Project/Area Number |
07750342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Electronic materials/Electric materials
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 伸広 東京工業大学, 工学部, 助手 (90229469)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | バリウムフェライト薄膜 / 重希ガス / 低基板温度 / イオン分布制御 |
Research Abstract |
Baフェライトは優れた磁気的特性を有しながらも高い作製温度が必要であること、表面平滑性に問題があること等から、磁気記録薄膜媒体として応用することは困難であるとされてきた。そこで本研究では重希ガス含んだ混合ガス中でスパッタすることで、低基板温度で良好な磁気特性および表面平滑性を有するBaフェライト膜の作製を目指した。薄膜試料の作製には対向ターゲット式スパッタ法を用いた。まず、表面熱酸化Si(SiO_x/Si)基板上に約2000Å程度のZnO下地層を形成し、その上にXe、ArおよびO_2の混合ガス中で組成がBaO・6.5(Fe_2O_3)とFeが多めに含まれたターゲットからBaフェライト薄膜の堆積を行った。 まず、基板温度を十分な結晶化が得られると考えられた600℃一定、全ガス圧力を0.2Pa一定として、Xe,Arのそれぞれの分圧力を変化させることで、混合ガス比の最適化を測った。Xe分圧力が0.1Paにおいて、最も優れた結晶性のみならず、飽和磁化4πM_Sも5.1kGとバルクのBaMフェライトの4.8kGより大きな値となり、保磁力および垂直異方性定数もそれぞれ約2.0kOe、4.23x10^5J・m^3と高密度の垂直磁気記録に適した良好な値が得られた。 次に基板温度を600→550→475→450℃と減少させていったところ、475℃とこれまで報告された中では最低の基板温度においても、良好なc軸配向性が確認された。このときに、飽和磁化4πM_Sが4.7kGとバルク並であるばかりでなく、垂直および面内保磁力がそれぞれ2.35および0.19kOeと優れた垂直磁気異方性が確認された。さらに膜の表面状態をScanning Electron Microsopy(SEM)およびAtomic Force Microscopy(AFM)で確認したところ、非常に平滑な膜面であることが確認され、中心線平均粗さR_aにして8.3nmと酸化物薄膜としては極めて良好な値であることが分かった。 以上の様に本研究で提案されたBaフェライト薄膜の作製方法は、バルクを越える飽和磁化を有する薄膜の形成を可能としたばかりでなく、これまでの作製温度の低限と考えられていた500℃よりもさらに低い温度で良好な形態学的・結晶学的・磁気的特性を有するBaフェライト薄膜を作製することに成功した。
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