Research Abstract |
本研究は、人体近傍に置かれたアンテナの放射効率を、放射電力積分法を用いて実験的に求めるためのシステムを提案することを目的として行った.この方法を適用するにあたっては,被測定アンテナ(送信アンテナ)を取り囲む閉曲面上でプローブアンテナ(受信アンテナ)を走査させるための装置が必要になるという問題がある.そこで本研究では,ターンテーブルと,今回試作したベ-クライト製の直径120cm程度のアーチレールを用いて,球面走査を実現させることにより,放射電力積分法を簡便に適用することを可能にした. そこで,このアーチレールを含めて構成した測定系および測定方法の妥当性について検討を行うために,試作した測定装置を用いて,周波数1500MHzにおいて,自由空間中におかれた半波長ダイポールアンテナからの放射電力を測定した.その結果,測定装置の限界の範囲においては,妥当な結果が得られた. 次に,この半波長ダイポールアンテナの近傍に人体モデル(生理食塩水入りファントム)を配置したときの放射効率を,放射電力積分法を用いて測定した.また,FDTD法(有限差分時間領域法)を用いた数値解析によるシミュレーションを行い実験値との比較をした.その結果,計算値と実験値は一致することが明らかになり,放射電力積分法,および試作した測定装置は,人体近傍に置かれたアンテナの放射効率を求めるためには有効である事を確認した.
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