Research Abstract |
3次の非線形媒質を線形媒質で挟んだ3層スラブ導波路中の4光波混合について特異摂動法を用いて解析を行った.得られた主要な結果は,次のように要約される. 1.先ず,非線形が十分小さいと仮定して,微小パラメータを導入する.伝搬座標軸及び波動関数をこの微小パラメータを用いて展開し,それらを波動方程式へ代入する.微小パラメータの同じ次数の係数より0次及び1次のオーダの支配方程式が導出され,各オーダでの解を求めることができる.また,1次のオーダでの境界条件を適用し,解が有限の係数を持つための条件より,4つの連立した結合方程式が得られた.これらの方程式は導波路の厚さが含まれており,バルク型素子と異なった特性を与えることが期待される. 2.上記で得られた連立結合方程式を,1)ポンプ光の減衰が無視できる場合,2)ポンプ光の減衰を考慮に入れた場合,の2つについての解析解を求めた.また数値計算として,本年度は,1)の場合について詳細に行った.その結果,導波路構造の場合,結合係数は導波路厚に依存して変化し,最適な厚さが存在することが確かめられた.また,その大きさは,従来のバルク型素子のそれよりも大きく,これは結合長を短くできることを示唆している.更に,発生効率はバルク型素子よりも約3桁改善できることがわかった. 今年度は,ポンプ光の減衰が無視できる場合について検討を行った.現在,ポンプ光の減衰を考慮に入れた数値検討を行っている.今後は,実用上ポンプ光の減衰が,どの程度寄与するか等を詳細に調べる予定である.
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