Research Abstract |
この研究では,車両に搭載したテレビカメラから得られる道路情景動画像を解析することにより,道路交通に関わる動的情報の獲得を試みた.今年度は以下に示す段階に従って研究を進めた. ・画像解析による効率的車両運動推定 車両等の移動体から観測される道路情景を3次元的に解析するために,動きステレオ(モーションステレオ)の原理を利用する場合,車両自身の運動を知る必要がある.従来,カ-・ナビゲーションなどでは,車軸の回転数やジャイロセンサーなどによる慣性航法が利用されてきたが,特にジャイロセンサーは精度が不足するという問題が生じることが多い.そこで,精度に上限のあるジャイロセンサーと情景の動画像解析(フロー解析)を組合せ,効率良く車両の運動パラメタを推定する手法を開発した.実画像に対する実験を行なった効果,平均13%の誤差で運動パラメタを算出できた.またこの手法では,情景画像の一部だけを処理するため効率が良く,実時間処理に適した手法である. ・時空間画像解析による空間データ獲得 移動体からの情景動画像から,動的な情報を収集するためには,その3次元的情報を獲得することが重要である.移動するカメラによる奥行き情報を得る技術は,前途した動きステレオ(モーションステレオ)として知られているが,一般に観測者の移動に関する拘束条件を緩めると処理の複雑さが増す.車両から道路情景を解析する場合には,上記車両運動推定手法を利用することで,処理量の軽減を図ることができる. 観測者(カメラ)の動きが既知である場合の動きステレオ手法として,EPI(Epipolar Plane Image)解析手法が知られているが,カメラ光軸を移動方向に対して垂直に保つ必要があった.従って道路情景にEPIを適用するためには,左右方向や上方向など,複数の画像系列を解析しなくてはならず,効率が悪い. そこで新たに進行方向に向けたカメラによる動画像1系列のみから,情景の3次元情報を得るための手法Extended EPI(EEPI)を開発した.実在する建築物のテクスチャデータを利用して合成した動画像系列に対する実験の結果,その奥行きデータを精度良く獲得できることが確認された.
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