Research Abstract |
トレリス符号化を用いて干渉キャンセル特性を改善したトレリス符号化同一チャネル干渉波キャンセラ(TCC: Trelliscoded Co-channel Canceller)のDSP(Digital Signal Processor)による試作,改良を行い,室内実験系において特性を評価した.所要結果は以下の通りである. ・最初に計算機シミュレーションによってタイミング同期等について検討を行った.その結果,TCC方式は精度の高いタイミング同期が必要であることが分かった.この対策を計算機シミュレーションによって研究し,クワッドサンプリングとブランチメトリック合成によって対処可能であることが分かった. ・DSPによる室内実験の結果,受信機で発生するDCオフセットが干渉キャンセル特性に大きな影響を与えることが判った.その対策として,時間平均処理を行うDCオフセットキャンセラを信号処理に組み込んだ.この結果,DCオフセットの調整が殆ど不要となる大きな改善効果が得られた. ・TCC方式と,トレリス符号化を用いない従来方式の干渉キャンセル特性を室内実験系によって確認した.その結果,TCC方式はシミュレーション結果からの誤差約3dBでシミュレーション結果と一致した.また,従来方式と比較して極めて優れた特性が得られた.具体的には,雑音を減少させても従来方式は10^<-2>程度の誤りが生じたが,TCC方式は誤りが生じなかった. 今回の実験では,概ね満足のできる特性が得られたが,シミュレーション結果と比較すると,E_b/N_oにして約3dB特性が劣化している.この特性劣化は実験装置系の不完全性に起因すると思われる.この改善が今後の課題である.
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