固有値法を用いたIIRディジタルフィルタの振幅・位相同時近似問題
Project/Area Number |
07750442
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
情報通信工学
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池原 雅章 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (00212796)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | IIRディジタルフィルタ / 固有値 |
Research Abstract |
フィルタリングはディジタル信号処理を代表とする情報通信における最も基本的なかつ重要な処理である。特にIIR形フィルタの設計問題は有理関数ゆえに困難を極え、古典的アナログフィルタの理論に基づき、主に振幅近似のみに注目した方法が示されている。このような状況の中でIIR形ディジタルフィルタの振幅・位相同時近似問題は最後まで残された大きな問題であり、未だ明確な設計論は展開されていない。本研究では、固有値法とRemezアルゴリズムを使った一般的なIIRディジタルフィルタのための新しい複素領域におけるチェビシシェフ近似(振幅・位相同時近似)法を示した。本研究で示したアルゴリズムはRemezのアルゴリズムに基づいており、ある周波数点における複素誤差を固有値問題の形に定式化し、その各反復で最小固有値に対する固有ベクトルをフィルタ係数として用い、繰り返しによって複素領域における絶対値誤差関数を等リプル化した。従来提案されているIIRディジタルフィルタの振幅・位相同時近似法は、非線形方程式に基づく方法であるゆえに、すべて膨大な計算量を必要とするものばかりである。それに対し本方法は極めてシンプルで、計算量が大幅に低減でき、従来法と同等あるいはそれ以上の最適解を得ることができた。更にIIR形ディジタルフィルタの大きな問題である安定性についても言及した。本方法では固有値問題に帰着して解を得ているため、行列の次元数の解が存在する。この性質を利用して安定性を満たしつつ最適な解を得ることができた。 IIRディジタルフィルタの振幅位相近似問題は情報通信系における基本的な問題であるが、非常に重要な問題である。本方法のような明確な近似論はこれまで例がなく、その意義は極めて重要であると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)