Research Abstract |
分散型リアルタイムスケジューリングにおいては,納期の遵守,稼働率改善などのスケジューリング目的の達成とともに,特急ジョブの処理,デッドロックの回避,工程間の時間間隔などの制約が存在する.しかし,分散型リアルタイムスケジューリングでは,短い期間のスケジュールを逐次生成していくため,「スケジュールの先読み」が困難であり,特急ジョブの処理や納期の遵守などのスケジューリング目的を取り扱いにくいという問題点がある.また,大規模な分散型システムでは,システム全体の情報を得るのに大きなコストがかかるため,システム全体の稼働率を上昇させるなどのグローバルなスケジューリング目的を達成することは容易でない. 本研究では,分散型リアルタイムスケジューリングシステムの構成について述べた後,分散型リアルタイムスケジューリングシステムのための通信プロトコルおよびディスパッチングアルゴリズムを提案した.今後は,シミュレーションを用いて性能の評価を行なうとともに,通信プロトコルの検証および改良を行なう必要がある.また,今回は通信プロトコル内にデッドロック回避,特急ジョブの処理を埋め込んだ形の実装としたが,実際規模の生産システムに分散型リアルタイムスケジューリングシステムを適用する場合,通信プロトコル内に埋め込むことが必要な機能についての考察を行なう必要がある.
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