Research Abstract |
初期視覚の最終段である大脳皮質第一次視覚野単純型細胞の空間周波数解析,運動速度検出の機能を取り入れて,パターンの方位と周波数を検出するための特徴抽出ネットワーク,および動くパターンの運動速度を検出するための特徴抽出ネットワークを開発した. 1. 昨年度までに開発した1次元の単純型細胞モデルを,画像に適用できるように2次元に拡張し,さらに高速処理のための機能の簡単化を行った.得られたモデル(以降,Sユニットと呼ぶ)の2次元パターンに対する方位選択性,周波数選択性をシミュレーションにより解析した. 2. Sユニットを用いて特徴抽出ネットワークを開発した.つまり,顔画像中の目の領域の空間周波数帯域を中心周波数とするSユニットから興奮性の入力を受け,低い中心周波数のSユニットから抑制性の入力を受けるという目の領域抽出ネットワークである.本ネットワークは異なる周波数,方位のSユニットを組み合わせて用いており,パターンの方位と周波数を同時に検出する.75人の顔画像を用いたシミュレーション実験によって,顔の大きさや向きにロバストな目の領域抽出が実現できることが示された. 3. 既に開発した1次元の運動速度を検出するモデルをSユニットを用いて画像に適用できるように拡張した. 4. 同一位置に受容野を有し,異なる位相のSユニットの時間的な応答パターンを見ることによって運動速度を検出するネットワークを開発した.シミュレーション実験により正確な速度検出が実現できることが示された.また,中心周波数の異なるネットワークを組み合わせて用いることにより,入力の周波数に依存しない速度検出ができることが示された.
|