Research Abstract |
ニューラルネットワーク技術は,パターン認識問題をはじめとして,幅広い分野において適用されている.制御の分野においても,非線形系に対する学習制御を中心に,数多くの適用結果が報告されている.しかしながら,そのほとんどはニューラルネットワークにより,制御入力を直接計算する方式をとっており,結果としてできあがったニューラルネットワークそのものの物理的意味が不明確であるという問題点を有している.一方,ニューラルネットワークの出力にPIDゲインを用いたチューニング型ニューラルネットワークの報告がなされている.この手法は,PIDゲインを出力に用いていることから,前者のような制御入力生成型に比べ,制御系の物理的な意味が明確になるという利点を有している.しかしながら,PIDゲインの調整には比較的長期に渡る学習が必要とされ,オンライン調節には不向きな構造となっている. そこで,本研究では著者らがこれまでに提案したセルフチューニングPID制御法とニューラルネトワークとを融合されたインテリジェントチューニングPID制御系を提案した.PIDゲインを自動調整するという観点から,本手法は,機能的自己組織化機能を有する制御法として捉えることができる.本手法の特徴としては,これまでセルフチューニングPID制御系では扱えなかった非線形系や高次系に対処することができ,かつオンラインでのPIDゲイン調整を行うことができるという長所を有していることである.現在、非線形性が強く,かつむだ時間が大きい化学プロセスに適用し,その有用性と適用限界について考察を行っているところである.
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