Research Abstract |
従来、砂の流動挙動を把握するための土の非排水大変形試験には三軸圧縮試験が用いられてきたが、三軸圧縮状態と三軸伸長状態では砂の非排水せん断特性が大きく異なることがわかったきた。この事実は、せん断時の主応力の方向と中間主応力の大きさがせん断特性に大きく影響していることを示唆している。そこで、本研究では中空ねじりせん断試験機を用いて砂のせん断時の応力条件が非排水単調せん断特性に与える影響を調べた。供試体は、高さ195mm・外径100mm・内径60mmである。試料は豊浦砂(D_<50>=0.2mm,e_<min>=0.597,e_<max>=0.977)を用い、乾燥堆積法により供試体を作成した。すべての試験は外セル圧p_0一定の非排水単調せん断とし、中間主応力方向は供試体半径方向に固定されている。初期有効圧密応力を等方圧p_c'=100kPaとし、相対密度がDr=25%,33%,40%の3種類の供試体に対して、様々な、最大主応力σ_1が砂の堆積面(水平面)の法線からなす角度αと中間主応力係数b=(σ_2-σ_3)/(σ_1-σ_3)、の組み合わせ条件下で単調非排水せん断を行った。いずれの密度の供試体についても、αが大きくなるほど、またbが大きくなるほどせん断挙動は圧縮的になり、より大きな間隙水圧を発生して残留強度は小さくなった。Dr=25%の場合、三軸圧縮条件(α=0°,b=0)では間隙水圧の発生はU_f=45%程度であるが、その他の大部分の応力条件領域ではU_f=100%の完全液状化に至った。U_f=40%の場合、三軸圧縮条件では過剰間隙水圧は発生せずに砂は硬化する一方であるのに対して三軸伸張条件(α=90°,b=1)ではU_f=94%となり著しい影響を受けることがわかった。特に、三軸圧縮試験は最大の強度を与えるのでこれを用いて地盤の挙動を予測することは著しく危険側の判断となることに注意する必要がある。
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