Project/Area Number |
07750610
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
交通工学・国土計画
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大野 栄治 筑波大学, 社会工学系, 講師 (50175246)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 道路整備効果 / 道路アメニティ / 便益評価 / 非市場評価 / 一般均衡分析 / 消費者余剰 |
Research Abstract |
美しい道路景観、きれいな空気、走り易い道路線形などの道路アメニティの整備も道路整備事業の重要な要素であるが、これらの要素は利用者に多くの便益をもたらすにもかかわらず無料で提供されるので、利用者はこのような便益を明確に認識しないことが多い。さらに、非市場財の改善便益の評価手法が理論的問題を抱えているといったこともあり、現在、道路アメニティ整備の便益評価において困難が生じている。本研究では、この便益を所得の尺度で評価するための方法を検討した。 まず、効用理論における等価的偏差(事業があった場合の効用水準を満たすという条件の下で事業をあきらめるために妥当と考える最低補償額)の概念を用いて道路整備事業の便益を定義した。次に、効果の二重計測や計測漏れをなくすために、一般均衡のフレームで便益の定義式を展開して便益評価モデルを誘導した。このとき、便益を「交通便益(一般化交通費用の減少による便益)」と「道路アメニティ便益(道路アメニティの向上による便益)」に分離した形で整理した。前者については交通市場の消費者余剰の増加分で捉え、後者については道路アメニティの代理市場における消費者余剰の増加分に近似して表現した(この場合の代理市場とは道路アメニティの変化の影響を直接受ける市場のことであるが、ここでは交通市場を取り上げた)。さらに、後者については、道路アメニティの向上があった場合の効用水準を満たすという条件の下でその向上をあきらめるために妥当と考える交通費用、道路アメニティの向上がなかった場合の効用水準を満たすという条件の下でその向上を受け入れるために妥当と考える交通費用、といった概念的な交通費用を定義し、これらを用いて新たな評価モデルを誘導した。 本モデルを用いてケーススタディを行ったが、交通便益に比べて道路アメニティ便益が過大に評価される嫌いがあった。この問題はアンケート調査に基づく交通需要関数の推定段階で発生しているものと考えられ、今後の課題として残された。
|