Project/Area Number |
07750612
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
交通工学・国土計画
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
上田 孝行 岐阜大学, 工学部, 助教授 (20232754)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 非線形動学 / 国土構造 / A system of cities / 交通改善 / 交通ネットワーク / 社会的厚生 / 安定性 / 国土計画 |
Research Abstract |
国土構造構造は複数の都市からなる空間経済システム(A system of cities)における活動分布として捉えられる。国土計画的な観点からは、交通ネットワーク整備等の施策がどのような影響を及ぼすかという点、そして、それが社会的厚生の増大に資するかという点に関心が寄せられる。都市への人口や経済機能の立地は、各個人や各企業がより高い効用や利潤を求めて行われる。効用や利潤は、都市への立地量とともに増大するという集積の経済や逆に減少するという不経済が作用する。このメカニズムを通じて、空間経済システムの中での活動分布は、非線形構造により決定されることになる。また、それが決定されるのは、長期にわたっての立地変更が収束して安定化した状態においてである。そのため、実現している国土構造は非線形動学システムの一つの状態として捉える必要がある。 本研究はこのような問題意識から、複数都市からなる空間経済システムを数理的にモデル化し、その構造変化と動学的安定性について分析を行った。そして、非線形動学システムの特性である複数均衡の存在、実現状態の初期値依存性などの性質が、国土構造形成においても見られることを明らかにした。すなわち、集積の経済や不経済などのメカニズムが存在する場合には、潜在的に実現し得る国土構造は複数有り、どの都市が大集積地となるかはそれが実現するまでの時間的経過の中での出発点の構造に強く依存していること、あるいは偶発的な撹乱に左右させやすいなどの性質を明らかにしている。また、都市間の交通費用の低下に伴う構造変化も分析し、交通費用の低下に伴って分散型→集中型→分散型の活動分布変化が生じることを明らかにしている。そして、それに伴う社会的厚生変化も考察し、交通に伴う外部不経済の強さによっては分散構造への転換が厚生を低下させる可能性があることを指摘している。
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