Research Abstract |
昭和54年4月11日,焼失棟数116棟(焼失面積1.4ha)の被害を出した富山県福光大火が発生した.この大火の特徴は,日本海特有のフェーン現象による強風下(瞬間風速15m/s)での火災の発生であった.このような強風のため,多くの飛火が発生し,出火から30分までに被災したほぼ全域に飛び火が広がり延焼拡大した.一方,消防力は,風下側への延焼拡大を最小限に止めるにとどまっている. 被災地の復興計画は,酒田大火復興計画と同様に土地区画整理事業が適用された.本研究では,福光大火を対象とし,13m四方の詳細メッシュを用いて都市構造データを採取分析し,火災延焼シミュレーション・システムの妥当性の検討,および復興市街地の耐火性の定量的評価を試みた. はじめに,大火前の市街地の航空写真に,13m四方のメッシュをかけメッシュ・マップを作成した.そして,気象条件・飛び火等のデータをもとに,単位時間を1分とする,シミュレーション実験を行い比較検討した結果,全体の焼失面の形状や,焼失面積において,かなりの再現性が認められた. つぎに,復興後の市街地のデータを採取し,気象条件,飛び火条件を想定し,新市街地の耐火性の評価を試みた結果,焼失面積は50%以上低減することを示すことができた.さらに,新築された家屋のなかには,防火木造建物や,屋根瓦の下張りに不燃材料を使用している住宅も多く見られ,復興後の新市街地では,飛び火発生数や着火確率は低下するものと考えられる.そこで,条件として飛び火着火・炎上確率を50%としたシミュレーション実験を行った結果,焼失面積は25%まで低減することを示すことができた.また,復興後の公園・幹線道路・アプローチ道路の配置計画により,消防力の効果も期待できるため,復興後の市街地の耐火性は大きく向上したと言えよう.
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