Project/Area Number |
07750738
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic materials/Physical properties
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西山 伸 千葉大学, 工学部, 助手 (90241942)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1995: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 熱電変換 / ZnSb_2O_6系酸化物 / ゼ-ベック係数 / 電気伝導度 / 遷移金属複酸化物 / 凍結乾燥法 / 他元素置換 / La_2NiO_4系酸化物 |
Research Abstract |
本研究は、酸化物熱電変換材料として新たに見出したZnSb_2O_6系酸化物の電気伝導度とゼ-ベック係数を評価し、より高い効率を示す条件を求めるための研究である。熱電変換を用いた冷却法は、有害なフロンガスを用いていない、騒音を出さない、小型軽量である、微妙な制御が可能であるといった、種々の特長を持つが、現在では十分な効率を持つ材料が得られておらず、材料の改良が望まれている。この解決として新たな酸化物や非酸化物の材料の開発が行われているが、我々は、ZnSb_2O_6がn型の酸化物半導体であり比較的高い電気伝導度とゼ-ベック係数を持つことを見出している。そこで、このZnSb_2O_6の合成方法や焼結法の改善、雰囲気制御などをすることによって、変換効率の高い新しい熱電材料を開発することを試みた。また、この物質の熱電的性質に関する基礎的なデータを得る事ができた。 まず、従来の固相反応法に変わるZnSb_2O_6の新たな合成方法として、凍結乾燥法による合成を行った。凍結乾燥法とは、原材料塩の水溶液を用意し、これを液体窒素中に噴霧することによって急速に凍結し、その後、減圧下で徐々に水分を昇華させることにより、凝集の少ない超微細な原料塩粉末を得る方法である。本研究では、金属アンチモンを硫酸に溶かし酸化硫酸アンチモンとした後これを酒石酸水溶液に溶解して原料の水溶液を得る事に成功した。このアンチモンを含む原料水溶液と硫酸亜鉛水溶液とを別々に凍結乾燥した後、混合し原料粉末を得た。これらをか焼して固相反応法よりも100℃以上低い温度で単相のZnSb_2O_6粉末を得る事ができた。 次に、ZnSb_2O_6の電気伝導度とゼ-ベック係数を高温にて測定した。その結果、この物質は電気伝導度とゼ-ベック係数の両者が温度上昇に伴って増加する傾向があることが分かった。これは、この物質のキャリア生成機構が通常の熱活性によるものではなく、遍歴電子によるものであることを表していると思われる。一方、高温における電気伝導度の酸素分圧依存性を測定したところ酸素分圧の低下に伴って電気伝導度が増加した。また、ゼ-ベック係数は、酸素分圧によらずほぼ一定の値を示した。この結果より、この物質のキャリア濃度は、雰囲気の酸素分圧によらず一定であることが分かった。この結果は、熱電変換材料としてさまざまな環境の下で使用される場合に性質が変化せず安定して用いることができることを示しており、耐熱性の低い非酸化物系の材料と比べて有利である。また、この物質のZn部分を種々の金属で一部置き換えた化合物を合成し、その電気伝導度およびゼ-ベック係数を測定したところ、CuやCoで置換した場合には、電気伝導度が減少しゼ-ベック係数が増加、Alで一部置換した場合には逆に、電気伝導度が増加し、ゼ-ベック係数が減少した。この結果を詳しく検討すると、電気伝導度の対数とゼ-ベック係数との関係が直線となることがわかり、我々の開発した熱電変換材料の評価法を用いることにより、最も変換効率の高いキャリア濃度を得る事ができると考えられる。 現在、このZnSb_2O_6系の材料と、La_2NiO_4系のp型の熱電変換材料と組み合わせて効率の高い酸化物熱電変換デバイスの製作を検討している。
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