Research Abstract |
CaSiO_3(ワラストナイト)は,生体親和性材料として知られているApatite-Wollastonite結晶化ガラスの構成成分であり、単独でも生体親和性が期待されるセラミックス材料である。しかしながらCaSiO_3を単独で使用するには、機械的性質,特に破壊靱性が不足していると予想される。そこで,高靱性を有する金属材料にCaSiO_3微粉末を電着法により厚膜状に成形,焼結させることで生体親和性と優れた機械的性質を合わせ持つ材料を作製することを試みた。CaSiO_3微粉末は共沈法により作製した。硝酸カルシウムとオルト珪酸エチルをエタノール中に溶解し(濃度:CaSiO_3について0.4mol/l)そこへ溶液と同量のアンモニア水(25%)を急速に添加して沈澱を得た。これを1000℃で12h熱処理し,CaSiO_3単相のみから成る粉末を得た。粉末はエタノール中でSi_3N_4ポット(80ml)とボール(2mmφ)を使用した遊星回転ボールミルにより2時間微粉砕した。得られた微粉末の粒径(50%累積径)は1.60μmと,電着法に使用するのに十分微細なものが得られた。電着成形は2枚のステンレス板(SUS304,40×20×1mm)を電極とし(電極間隔10mm),これらを平行に向かい合わせて原料粉末のスラリー(濃度1g/150ml)中で直流電圧(10〜200V)を印加することで行った。水-エタノール混合分散媒を用いたスラリーではCaSiO_3微粉末は良好な分散性を示さなかったことからエタノールのみを分散媒として使用したところ,CaSiO_3微粉末は良好な分散性を示し、一例として印加電圧100V,5minの通電で単位面積当たり8.1mg/cm^2の厚膜が得られた。この時の膜厚は62μm,膜の相対密度は47%であった。得られた膜の焼結性,他の溶媒,電極材料についての検討は現在継続して進行中である。
|