Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,金属間化合物Co_3TiおよびNi_3(Si,Ti)中の微視組織と水素挙動との関係を明らかにし,環境水素脆化を抑制して靱性を付与するための材料学的な指針を得ることを目的として,トリチウム・電顕オートラジオグラフ法,昇温加熱水素放出法および電気化学的水素放出法による実験を実施した.オートラジオグラフ実験では,Co_3Tiに対する鉄添加は水素の侵入を妨げること,およびNi_3(Si,Ti)に対するボロン添加は結晶粒界への水素の集積を妨げることが視覚的に示された.本研究で購入したデータ収集システムを用いて行われた昇温加熱水素放出実験においては,これらの金属間化合物中の水素の拡散はニッケル中の水素の拡散と同程度かそれよりも遅いことが示唆された.また,本研究で購入したポテンショスタットおよびデータ収集システムを用いて行われた電気化学的水素放出実験における水素電極特性の測定において,鉄添加したCo_3Ti表面での水素発生速度は速いこと,およびNi_3(Si,Ti)表面での水素発生電位はボロン添加の有無に関わらずほとんど変化しないことがわかった.以上の結果から,鉄添加によるCo_3Tiの水素脆化抑制は,表面での再結合反応速度,すなわち水素放出速度を増大させて,試料内部への水素の侵入を抑制することに起因し,ボロン添加によるNi_3(Si,Ti)の水素脆化抑制は,結晶粒界上の水素が存在可能な位置をボロンが優先的に占有して水素を排斥するスキャベンジング効果によることが明らかとなった.
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