Research Abstract |
減圧下における反応性ガス中での溶融金属の蒸発は,溶融金属の蒸発・金属蒸気とガスとの反応による凝縮・凝縮粒子の成長の3つの連続した過程を経ると考えられる。したがって,蒸気の凝縮過程は,蒸発速度と凝縮粒子性状の両方に影響をおよぼすと考えられる.そこで,本研究は,減圧下における反応性ガス中での蒸気凝縮過程を明らかにすることを主目的として,あわせて,超微粒子の合成および超微粒子性状の制御,蒸発速度におよぼす反応性ガス分圧などの影響を明らかにすることを目的とした. 実験には,浮揚溶解装置を使用した.雰囲気圧力は,真空一定装置を使用して,設定値の20%以内で制御した.温度は,熱電対で校正した2色温度計で測定し,±15Kで手動制御した.実験は,雰囲気圧0.03torr〜760torrのアルゴン中ですずを溶解し,1473Kで所定時間保持して行った.粒子は反応管壁に付着したものをTEMで観察し,同定した. アルゴン中でのすずの蒸発速度は,雰囲気圧力<約1torrでは,雰囲気圧力によらず真空中での蒸発速度に等しかったが,その後雰囲気圧力の増大とともに減少した.凝縮粒子については,雰囲気圧力<約1torrでは,粒子は得られず,PVDによる蒸着膜のみが得られたが,それ以上の雰囲気圧力では凝縮粒子が得られた.凝縮粒子の平均サイズは,雰囲気圧力の増大とともに5nmから400nmに増大した.
|