Project/Area Number |
07750854
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
反応・分離工学
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
吉塚 和治 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70191567)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 膜分離法 / キトサン膜 / フラボノイド / 漢方生薬 / 分子モデリング / pHセンサー |
Research Abstract |
本研究では、海老や蟹の外殻成分であるキチンを脱アセチル化して得られるバイオ新素材であるキトサンを用いて、pH刺激に対して敏感に応答するセンサー機能を有する化学修飾キトサン膜を合成した。この膜を用いて、生理活性物質としては、漢方生薬の黄ごん(オウゴン、シソ科のコガネバナの根)に含有している134種類のフラボノイド類の中の主要成分であるバイカリン、バイカレイン及びフラボンとの相互分離性能について研究した。 (1)pH刺激応答性キトサン膜の合成 カルボキシル基を化学修飾したキトサン膜は、(1)化学修飾キトサンの酢酸-エタノール混合溶液を所定量均一になるまで混合して調製する、(2)この溶液を遠心脱気した後、テフロンコーティングバットに流延し50℃に保ったホットプレート上で溶媒を蒸発させて製膜する、(3)この膜を水でよく洗浄し自然乾燥する、の順で行った。pH変化に伴う膜内の官能基のイオン解離に伴う膜の膨潤・収縮挙動の観察は、光学顕微鏡及びマイクロメータを用いて行った結果、pHに伴って膜の膨潤・収縮は起こらないことが明らかになった。 (2)化学修飾キトサン膜による生理活性物質の選択的透過分離実験 自作の膜分離モジュールに化学修飾キトサン膜を挟んで、左右の供給セルおよび透過セルを取り付けた拡散セル型膜分離装置で行った。供給側および透過側の水溶液としてはpHを調整した酢酸緩衝液を用いた。また、この膜分離モジュールは、恒温水槽に漬けて温度を一定に保った。セル内の水溶液の混合は、マグネチックスターラで行った。セル内のフラボノイド類の濃度変化は、両方のセル内の水溶液を時間毎にサンプリングし、紫外可視分光光度計で及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析して求めた。この実験によって、キトサン膜によるバイカリン/バイカレイン/フラボンの膜分離は水溶液pHが4程度の領域で最大となることを明らかにした。さらに、分子モデリングによる計算結果によって膜透過速度のシュミレーションを行い、膜分離特性に対して、重要な因子を抽出したところ、主として透過物資の分子容と親水性の度合いが、膜透過挙動に対して大きな影響を及ぼしていることが分かった。この結果は、Journal of Membrane Scienceに発表し、印刷中である。
|