Project/Area Number |
07750904
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
工業物理化学
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
叶 深 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40250419)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 自己組織化単分子層 / FT-IRRAS / EQCM / 構造・配向 / イオンペア |
Research Abstract |
本研究では、FTIR反射分光法と電気化学水晶マイクロバランス法(EQCM)複合システムを構築し、フェロセニルウンデカンチオール(FcC_<11>SH)自己組織化単分子層の表面構造と物質移動間の関係を同時のその場測定を行うことにより、安定な機能性単分子層構築の条件を明らかにすることを目的に行っている。平成7年度で交付された奨励研究費により、FTIR/EQCM複合測定システムを完成し、同時に或いは独立にFTIRとEQCMの測定を行うことが可能となり、FcC_<11>SH自己組織化単分子層の構造・配向と物質移動の電位および吸着率の依存性を調べた。 金を真空蒸着した水晶表面にFcC_<11>SH分子を飽和吸着させる場合、0.65V(vs.RHE)にシャープなredoxピークが観測され、そのmpe(mass per electron)は約100gであることがEQCM測定から分かった。これは、単分子層の末端にあるフェロセン環がフェロセニルカチオンに酸化され、溶液中のClO^-_4とイオンペアを形成し、電極表面質量がClO^-_4の分(100g)で増加することに対応する。さらに、FTIR/EQCM同時測定を行うと、EQCMによる表面質量が増加し始まると同時に、単分子層のFTIR反射スペクトルの変化も同時に観測されている。フェロセン環が酸化されるとともに、単分子層のアルキル鎖とフェロセン環がより電極表面の法線方向に平行するように再配向する挙動が観測されている。これは単分子層の末端にあるフェロセニルカチオンが生じた表面静電場の効果によるものと考える。一方、FcC_<11>SHの吸着率を下げると、この単分子層のFTIR/EQCM挙動が大きく変化する。mpeが吸着率の減少とともに急激に増加し、FTIRに観測された単分子層のアルキル鎖とフェロセン環の可逆な配向変化が小さくなり、逆にS-Au結合の開裂に対応するR-SO^-_3のバンドが容易に観測されたことから、単分子層の分解を示唆した。これらのことから、低吸着率の場合、単分子層がより不安定となり、フェロセンの酸化還元とともに、イオンペア形成のほかに、水分子も層内に取り込むこととなり、非常に高いmpe値を与えたと思われる。 現在、単分子層の酸化分解の過程をFTIR/EQCM複合システムにより追跡している。
|