Project/Area Number |
07750947
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小西 克明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80234798)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 不斉窒素 / ポルフィリン / N-置換ポルフィリン / チオール / エノン / マイケル付加 / 不斉合成 |
Research Abstract |
三種類の異なった置換基が結合した窒素原子を有するアミンは不斉であり、その窒素原子上に不斉中心が存在する。しかし、窒素原子上の非共有電子対のフリッピングにより、通常容易にラセミ化を起こすため、Troger baseのような例外を除いてその光学異性体を安定に単離することはできない。申請者らが開発を行ってきた一連の不斉ポルフィリンの一つであるキラルなN-置換ポルフィリン類も置換基が導入された窒素原子が不斉中心となっている。しかしこの場合、不斉窒素に結合した置換基がポルフィリンコアよりもかさだかいため、通り抜けることができない。従って、窒素原子上の立体配置がインターロックされており、その光学異性体はラセミ化することなく、容易に単離できる。本研究では、この点に着目し、不斉N-置換ポルフィリンを塩基触媒とした新しい不斉合成反応を開発を行なった。 研究代表者は、これまでに、窒素原子を不斉中心とする一連の不斉N-置換ポルフィリンの合成、光学分割に成功している。そこで不斉窒素原子上にリジッドな三次元不斉空間を有するストラップN-メチルポルフィリンを触媒として、チオールのシクロヘキセノン類への不斉マイケル付加反応を検討したところ、35%-58%のの不斉選択性で、反応が定量的に進行することを見いだした。さらに、触媒の構造が不斉選択性に与える影響について調べたところ、ストラップのない不斉N-置換ポルフィリンを触媒とすると不斉選択性が著しく低下することを見いだし、不斉窒素原子上のストラップの提供するリジッドなキャビティーが不斉誘導に重要な役割を果たしているという知見を得た。また、基質と触媒の相互作用を赤外吸収、可視吸収、円偏光二色性スペクトルから詳細に解析したところ、触媒活性点近傍の2級アミドを介した水素結合により基質が活性化され、触媒反応が進行することがわかった。
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