Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本年度は,片麻岩体で行った原位置試験結果を分析することに絞り,岩質が一様でない岩盤に特有の不均一な応力場の評価法について検討を行った。 岩質が一様でない岩盤の応力は、ヤング率などの弾性係数の分布に影響され,不均一であると考えられる。したがって、その分布型を明らかにしようとすると,相当な数の応力測定が必要である。たとえば,応力分布がsin関数に従い,ある波長で規則的に変動している場合を想定してみると,その波長を少なくとも5〜10等分する間隔で応力測定が行わなければならない限り,実応力分布の最高値,平均値などを正確に評価することはできないと想像される。結局,初期応力の分布の周期性に応じて測定間隔を決める必要がある。しかし,円錐孔底ひずみ法において採用できる測定間隔には限界がある。測定間隔を1mとすると,5〜10m以上の大きな周期性は分析できるが,それ以下の小さな変動を直接求めることはできないと考えられる。したがって、短い距離で大きく変動する初期応力場を測定の対象とする場合には,その大様を把握し,平均的な応力場を評価するために特別な手法が必要になると考えられた。そこで,平均的な初期応力場を多点測定結果を用いて統計的に評価する方法を考えてみた。一般的な点推定の方法としては,算術平均法が挙げられるが,ひずみ測定レベルの不均質が原因で生じる異常値の存在を考えると,異常値を含めて点推定する算術平均法には問題があると考えられる。そこで本研究では,領域採中法を提案した。この方法は,任意の領域内で測定された初期応力成分の中央値をその領域の平均応力の点推定値とする方法である。本方法の長所は,異常データが自動的に棄却される点にある。本手法を片麻岩体で実施した原位置試験結果に適用してみると,領域採中法でスムージングされた坑道周辺の応力分布は地質構造などを考慮に入れても意味ありげであり,現実的でな結果が得らえれた。しかし,その妥当性,合理性の証明は難しい問題であり,今後の課題としたい。
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