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¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
剪葉および遮光処理を水稲に施して根の生理的活性を低下させ,根の質的および量的要因と根の窒素同化能との関係を求めた.根の窒素同化能は茎基部からの出液中アンモニア態窒素(NH_3)濃度で評価した. 品種日本晴を容量4.6Lのポットで土耕栽培し,出穂前22日にN区(0.3gN/pot)と2N区(0.6gN/pot)に2分し,それぞれに剪葉処理(2水準)と遮光処理(2水準)および対照区を設けた(計10区).剪葉処理は出穂前19日に最上位葉のみを残す区(RL1)と上位2葉を残す区(RL2)とし,遮光処理は出穂前20日より寒冷紗で47%および73%減光した.穂ばらみ期より登熟中期まで茎基部からの出液を採取し,根の呼吸速度を測定した. [結果]登熟期間中の出液の平均NH_3濃度は,2N-73%遮光区が6.6ppmと最も高い値を示し,次いで1N-73%遮光区が6.0ppmであり,対照区は1.5ppmであった.また剪葉処理でも,RL1区3.4ppm,RL2区2.7ppmと対照区よりも高い値であった.これら処理区の根量は対照区と大差がなかったが,根の全糖含有率がかなり低下していた.登熟期の処理区平均の全糖含有率とNH_3濃度との間には負の相関関係(r=-0.817^<**>)が成立したが,個体別にみると,両者の間には明確な関係がなく,根の窒素含有率と出液中のNH_3濃度との間にも相関は認められなかった.しかし,根の呼吸速度と出液中NH_3濃度との間にはゆるやかな負の相関関係(r=-0.386^<**>)が認められた.また,出液速度が低下すると出液中NH_3濃度が上昇する傾向がみられ,遮光処理では両者の間に高い負の相関関係(r=-0.789^<**>)が認められた.このNH_3濃度をNH_3量としても同様の関係が成立した.このように,根の生理活性が低下すると,根から吸収されたNH_3態窒素はすみやかにアミノ酸に同化されず,NH_3態窒素の形態で地上部に送られていることが明らかとなった.
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