Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
ナスは主要品種の多くが一代雑種であるので、雄性不稔の利用は品種育成に多大な貢献をするものと考えられるが,現在までに実用化可能な優れた雄性不稔系統は育成されていない.本研究では,ナスの細胞質雄性不稔系統を育成することを目的として,該置換法および細胞融合法などの細胞工学的手法を用いて近縁野性種の細胞質のナスへの導入を試みるとともに,異種細胞質の雄性不稔関連の形質への影響も調査した. 複数のナス近縁野生種を用いて異質細胞質系統の作出を試みた結果,Solanum indicum L.を種子親とし,栽培ナスS,。melongena L.'Uttara'を反復親(花粉親)として作出した戻し交雑第1代(B_1)の約50実生の中で雄性不稔性でかつ雌性可稔性の系統を1個体(以下MS1と記す)見い出した.MS1の雄性不稔性は,稔性花粉を生産するが葯の奇形のために花粉が放出されないものであった.一般に葯の奇形に起因する雄性不稔性は環境条件などに影響される不安定なものである場合が多い.しかし,MS1の雄性不稔性は長期にわたって安定した発現を示したことから,この雄性不稔性の実用価値がきわめて高いことが判明した. 本研究によって,ナスの実用的な雄性不稔系統の育成のための育種素材としてきわめて貴重であると考えられる個体MS1を作出することができたとともに,MS1を利用したナスの雄性不稔系統育成への道が開かれた.
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