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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
BHCを好気的に分解資化するという大変ユニークな性質を持つPseudomonas paucimobilis UT26が有する脱塩素酵素反応を触媒する酵素の性質についての解析を行った。まず,BHCから直接脱塩化水素を行うdehydrochlorinase (LinA)と次の段階の加水分解的脱塩素反応を行うhydrolytic dehalogenase (LinB)の相互作用を検討するために,量酵素をコードする遺伝子をタンデムに結合し,tac プロモーターを利用して両遺伝子を大腸菌中で同時に高発現させた。粗酵素抽出液に両酵素の活性が検出されたために,この抽出液から両タンパク質の精製を試みた。硫安分画を行ったところ,両酵素活性性は異なる画分に検出された。すなわち,当初予想された両酵素が複合体を形成し,一連の脱塩素反応を行っている可能性は低いと思われた。そこで,以下は,その酵素学的特徴について解析が不十分である,LinB酵素に的を絞って解析を行った。すなわち,クローン化した遺伝子を用いてLinB蛋白を大腸菌内で大量に生産し、これを硫安分画,疎水クロマト,陰イオン交換クロマト,ゲルろ過の各ステップを経て,SDS-PAGE上で単一のバンドとなるまで精製した。その酵素学的解析を行ったところ,約30-kDの単量体であること,至適pHが8.2であることなどの特徴は,既に酵素学的解析が行われているLinBと推定アミノ酸配列において有意な相同性を示すhaloalkane dehalogenase, DhlAと類似の特徴を示したが,基質特異性においては顕著な違いが観察された。すなわち,DhlAが鎖長の短いhaloalkaneを良い基質とするのに対して,LinBは比較的鎖長の長居haloalkaneを良い基質とした。推定アミノ酸配列の違いと,基質特異性の違いの対応関係はコンピューター解析によって推定されるものとよく一致し,本申請研究において,今後,dehalogenaseの構造・機能相関を明らかにしていくための十分な下地を確立することができた。
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