Research Abstract |
1.Aeromonas sp.No.10S-24の生産するキチナーゼの大量調整 Aeromonasをキチンを含む培地で大量培養し,菌体を除いた上澄を粗酵素液とし,この液から硫安塩析,陰イオン交換クロマトグラフィー,疎水クロマトグラフィー及びクロマトフォーカシングにより電気泳動的に均一なキチナーゼを単離した. 2.Aeromonas sp.No.10S-24由来のキチナーゼ遺伝子のクローニングと大腸菌における発現 キチナーゼI遺伝子のクローニングを行ったところ,キチナーゼI遺伝子を含めて,4つのキチナーゼ遺伝子がクラスターを形成するDNA断片の取得に成功した.この断片上にはキチナーゼI遺伝子以外に,III遺伝子もコードされていることが明らかとなった.残りの2つの遺伝子は元菌の精製酵素中には存在しなかったが,一次構造はキチナーゼIとホモロジーが見いだされた.キチナーゼIII遺伝子を大腸菌を用いて発現させ,菌体破砕後の無細胞抽出物を用いて組換え型のキチナーゼIIIを精製した. 3.Aeromonas由来のキチナーゼの糖鎖の機能について 糖鎖を持つAeromonasのキチナーゼIIと大腸菌を用いて発現させた組換え型キチナーゼII(糖鎖をもっていない)を調整し,種々の酵素化学的性質の比較検討を行った.その結果,最適作用pH,最適作用温度,熱,pH安定性,等電点など組換え型のキチナーゼは元菌由来のキチナーゼとほとんど同じ値を示した.しかし,プロテアーゼに対する抵抗性は元菌由来のキチナーゼの方が高かった.この結果より,キチナーゼIIに付加している糖鎖はプロテアーゼに対する抵抗性に関与していることが明らかとなった.
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