Research Abstract |
M.aeruginosa f.aeruginosa(NIES-87),M.aeruginosa f.flos-aquae(NIES-98),M.viridis(NIES-102),M.wesenbergii(NIES-111),M.elabens var.minor(NIES-42),M.holsatica(NIES-43)を供試生物とし,DNAの抽出方法について検討した結果、NIES-87,98,102,111(以下AERUグループとする)については細胞破砕の方法として最適なものは液体窒素処理であった。また,DNA抽出buffer等に関しては,赤潮藻類に用いられるDNA抽出bufferを使用し,CTABで精製することが肝要であった。そうして得られたDNAを鋳型として用いることにより,安定して約1.5kbpの16S rRNA遺伝子(16S rDNA)のPCR産物が得られた。これらの産物に制限酵素処理を行って断片パターン(RFLP)を調べた結果,AERUグループとNIES-42,43株との間に違いは見られたが,AERUグループには見られなかった。さらに、塩基配列を調べた結果,AERUグループ間の塩基配列の類似度は97%以上,AERUグループはNIES-42,43株間ではそれぞれ76%,84%であった。これらのことから,今回調べたMicrocystis属のうち,M.elabensとM.holsaticaの2種はAERUグループと識別できたが,AERUグループ間においては困難であった。ただ、AERUグループには、他の藍藻や細菌にはない塩基配列の保存領域があるため、様々な群集DNAからその保存領域をもとにこれらのグループをスクリーニングできることが明らかとなり,福井県三方湖の湖水からMicrocystis属AERUグループの16S rDNAの検出に成功した。
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