Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
酸素反応により種々のドコサヘキサエン酸(DHA)含有リン脂質を調製し、ヒト前骨髄性白血病細胞(HL-60細胞)の増殖、分化に及ぼす影響について検討した。 1.種々のDHA含有ホスファチジルコリン(PC)分子種をHL-60細胞培養液に添加して、あらかじめ24時間培養することにより、レチノイン酸(RA)の細胞分化誘導能が増強された(細胞分化誘導促進効果)。その効果はDNA含有PC分子種により異なり、1-Pal,2-DHA-PC及び1-Ole,2-DHA-PCにおいて顕著であった。 2.DHA含有PCの細胞分化誘導促進効果は濃度依存的に上昇し、それに伴い細胞内のDHA含量の増加が見られた。DHAの結合していないdi-Pal-PC、di-Ole-PC及び大豆PCには促進効果が見られなかった。 3.DHA含有リン脂質の化学形態の影響について検討したところ、同一分子種ではPCに比べ、ポスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)の形態において細胞分化誘導能の増強作用が大きく、特に1-Pal,2-DHA-PE及び1-Ole,2-DHA-PEにおいて細胞分化誘導促進効果が顕著であった。更に、DHA含有PE自体にも分化誘導作用が見られた。 4.HL-60細胞の増殖に及ぼすDHA含有リン脂質分子種の影響についても検討を行ったところ、DHA含有PEの形態において増殖抑制効果が大きかった。 以上の結果より、DHA含有リン脂質がガン細胞の分化誘導促進能や増殖抑制能を有し、その効果がリン脂質の分子種や化学形態によって異なることが明らかとなった。特に、1-Pal,2-DHA-PE及び1-Ole,2-DHA-PEの効果が顕著であったことから、制ガン剤の減量とともに副作用の軽減への利用が期待される。
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