Project/Area Number |
07760206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fisheries chemistry
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
水田 尚志 福井県立大学, 生物資源学部, 助手 (30254246)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ズワイガニ / 甲殻類 / 筋肉 / 肉質 / テクスチャー / 脱皮 |
Research Abstract |
脱皮直後から数カ月以内の状態にあるズワイガニは北陸地方ではミズガニと称して販売されている。本研究は1995年または1996年の1月中旬から下旬にかけて若狭湾近辺にて水揚げされたミズガニと既に最終脱皮を終えて1年以上経ているズワイガニ(カタガニ)を試料とし、これらの肉質の違い、さらにそれをもたらす成分組成の差異を明らかにすることを目的とした。 カニの脚部筋肉について光学顕微鏡観察を行なったところ、ミズガニはカタガニに比べ筋繊維が細く、細胞の間隙が大きかった。生肉について針入抵抗力では有意差は認められなかったもののミズガニの方がやや低い値を示し、官能検査においてもカタガニに比べミズガニの筋肉は殻から離れやすく、弾力性が低く、水っぽいという傾向が認められた。加熱肉においても剪断抵抗力の測定、官能検査いずれにおいてもカタガニ肉の方が有意に硬いという結果が得られた。主要可食部である脚部長節に占める筋肉の割合はカタガニの方が有意に高く、逆に脚部長節に占める体液の割合はミズガニの方が有意に高かった。ズワイガニは脱皮の際海水を飲むと言われているがミズガニ脚中の体液の食塩濃度は海水のそれに近い値であった。筋肉について一般成分分析を行なったところ水分含量はミズガニの方が有意に高く、タンパク質含量はカタガニの方が有意に高かった。コラーゲンの含有量には両者の間で有意差が見られず、その値は両者とも筋肉湿重量に対して約0.016〜0.017%と極めて小さかった。そのため本研究ではコラーゲンの回収および精製には至らなかった。 以上の結果からミズガニ肉がカタガニ肉より水っぽく軟らかいのは、脱皮による筋肉量および筋肉のタンパク質含量の低下、および海水を飲むことによる体液ならびに筋肉中の水分の増加によることを示唆している。なお、これらの詳細なメカニズムについてはさらなる検討を必要とする。
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