Research Abstract |
今年度の研究で、平場水田地帯の土地持ち非農家が所有する農地につて次のような点が明らかになった。 (1)不在地主が所有する農地について 隣接市町村に居住する不在地主の出作の可能性があり、純粋な意味での不在地主とはならない。そこで、調査対象を県外に居住する不在地主が所有する農地に限定し、農地台帳を一筆ごとに集計を行うことにした。 (1)滋賀県湖北町の県外不在地主が所有する農地は176筆、93,264m^2であった。うち水田は43筆、67,575m^2で全面積の72.5%を占める。畑は112筆、21,106m^2で面積の割には筆数、所有者が多く、所有関係が複雑になっている。権利設定状況は、水田は権利未設定農地が7筆、2,746m^2、利用権設定農地は17筆、28,276m^2、相対賃貸借農地が19筆、36,202m^2となっていた。畑については権利設定がされている農地はなかった。(2)新潟県白根市の県外不在地主が所有する農地は60筆、59,079m^2、うち水田は28筆、48,096m^2、畑は32筆、10,990m^2であり、水田が全面積の81.4%を占める。権利設定は利用権設定だけで、水田が12筆、30,812m^2、畑は1筆、375m^2であった。(3)以上より、県外の不在地主が所有する農地については、圃場整備がされた水田は賃貸借関係が結ばれ、耕作放棄地にはなりにくいものの、それ以外の農地は利用者がおらず、耕作放棄地となっている可能性が高いということがわかる。しかしながら、県外の不在地主が所有する農地面積は全体でも1%にも達しておらず、現時点ではこの問題はそれほど大きい問題となっていないとみることができるだろう。 (2)在村地主が所有する農地について この点については滋賀県湖北町でアンケート調査を行ったが、必ずしも統計的に有意な結果は得られなかった。ただし、「農地を売却処分してもよい」「農地を相続で分割してもよい」という問に関しては「賛成」という回答がいくつかあった点は農地所有意識の変化を示すものとして注目される。
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