Research Abstract |
Na^+,K^+-ATPaseとSRCa^<2+>-ATPaseの両ATPaseに存在するK^+イオン感受性領域(K^+イオンセンサー)を決定するため、ニワトリNa^+,K^+-ATPaseα1サブユニットとSRCa^<2+>-ATPase間のキメラATPaseを作製した。Ca^<2+>依存性,タプシガルジン感受性のSRCa^<2+>-ATPASE活性は,K^+イオンの非存在下においても活性を有するが,その活性は,K^+イオンの添加によりさらに爆発的に活性化される。K^+イオンによる活性化様式は,高感受性(ED50,^-20mM)と低感受性(ED50,^-70mM)の二相性であった。[n/c]CCおよびCNCキメラATPaseのタプシガルジン感受性SRCa^<2+>-ATPase活性もまた,野性型CCCと同様,二相性のK^+イオンによる活性化様式を示した。それに対して,CC[c/n/n]キメラATPaseのタプシガルジン感受性SRCa^<2+>-ATPase活性は,野性型Na^+,K^+-ATPase(NNN)のK^+イオン感受性と同等の高感受性一相性(ED50,<10mM>の活性化様式を示した。これらの結果は,Na^+,K^+-ATPaseのK^+イオン感受性領域(K^+イオンセンサー)がNa^+,K^+-ATPaseα1サブユニットC末端領域(Leu861-C末端領域)に存在することを示唆するものである。また,SRCa^<2+>-ATPaseのK^+イオン低感受性のK^+イオンセンサーも同様に,SRCa^<2+>-ATPaseのC末端領域(Ser830-C末端領域)に存在することを証明するものである。そこで,Na^+,K^+-ATPaseα1サブユニットC末端領域をさらに限局させた2つのキメラATPase,CC[c/n/c]およびCC[c/c/n]を作製した。CC[c/c/n]キメラATPaseのタプシガルジン感受性SRCa^<2+>-ATPase活性に対するK^+イオンの感受性は,CC[c/n/n]キメラATPaseのそれと同様,野性型NNNのK^+イオン感受性と同等の高感受性一相性(ED50,<10mM>の活性化様式を示した。それに対して,CC[C/N/C]キメラATPaseのタプシガルジン感受性SRCa^<2+>-ATPase活性に対するK^+イオンの感受性は,野性型CCCと同様,二相性のK^+イオンによる活性化様式を示した。Na^+,K^+-ATPaseα1サブユニットC末端領域(Met889-C末端領域)には,Na^+,K^+-ATPaseのK^+イオンセンサーが存在することを証明した。
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