副腎髄質からのカテコールアミン分泌におけるアセチールコリン受容体機構の動物種差
Project/Area Number |
07760286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Basic veterinary science/Basic zootechnical science
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
寺岡 宏樹 酪農学園大学, 酪農学部, 講師 (50222146)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ウシ副腎 / クロム親和性細胞 / ニコチン受容体 / ニワトリ副腎 / ムスカリン受容体 / カテコールアミン / カルシウムイオン |
Research Abstract |
副腎髄クロム親和性細胞からのカテコールアミン(CA)分泌を介在するアセチールコリン(ACh)受容体タイプには動物種差がある。本研究はこの種差の生理的意義について、ウシとニワトリの受容体機構を比較することにより検討することを企図し、以下の成績を得た。 1.ニワトリ副腎クロム親和性細胞における機能的ニコチン受容体の存在 ニワトリ副腎分離細胞において、ニコチンは濃度依存性(10^<-7>-10^<-4>M)にCA分泌および細胞内Ca^<2+>濃度(Cai)の上昇を起こした。両反応はヘキサメトニウム(C6)により濃度依存性(10^<-7>-10^<-3>M)に抑制された。またAChの反応はC6により半減し、アトロピンとの併用により消失した。さらに、^3H-a-bungarotoxinを用いた結合実験から、C6感受性の高親和性結合が観察された。これらは、ニワトリ副腎に機能的なNic受容体が存在する薬理学的な証拠であり、ニワトリ副腎ではMus受容体刺激のみがCA分泌を惹起するという従来の報告を覆すものである。 2.ニワトリおよびウシ副腎クロム親和性細胞におけるCA分泌、Cai反応、受容体結合能の比較 ニワトリ副腎においてメサコリン(10^<-7>-10^<-3>M)は他のMusアゴニストと同様に濃度依存性にCA分泌を起こしたが、ウシ副腎では殆ど影響しなかった。プロテインキナーゼ阻害薬のスタウロスポリン(10^<-9>-10^<-6>M)はすべてのAChアゴニストの効果を抑制したが、ニワトリにおけるMus受容体刺激に対して非常に強い抑制を示した。細胞外Ca^<2+>除去や細胞内Ca^<2+>キレートは両動物種ともNic, Musアゴニストの効果を殆ど消失させた。一方、メサコリンはニコチンと異なり潜時の長い持続性のCai上昇を両動物種で起こしたが、ウシの反応の大きさはニワトリの約1/5であった。両動物とも、外液Ca^<2+>除去はニコチンのCai上昇を消失させたが、メサコリンおよびカフェイン反応は残存した。従って、2種の受容体刺激によるCa^<2+>の動員経路は定性的に両動物で共通であった。両動物とも^3H-QNBによる高親和性結合部位が存在したが、顕著な性質の違いは認められなかった。 以上の成績は、副腎が器官として独立している動物種を通して、Nic受容体はCA分泌を介在する主要な受容体であることを示唆する。また、ウシ副腎のMus受容体刺激はCai動員を起こす内部効力が弱く、これがMus受容体刺激がCA分泌に結びつかない原因の一つと考えられる。今回、Mus受容体刺激によるCA分泌機構に蛋白質リン酸化が比較的強く関与する可能性が示唆されたが、これはラットでの報告と全く異なるものであり、ウシのMus受容体機構によるリン酸化の程度を今後検討するべきであると思われた。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)