Research Abstract |
1.リン酸の供給形態と施用量がケナフの生育に及ぼす影響 ケナフのN施肥法に関する研究は多いが,Pに関しては少ない.そこでPの供給形態及び施用量がケナフの生育に及ぼす影響について検討した.供試土壌として,炭酸苦土石灰を混和した砂壌土を使用し,基肥として,尿素,塩化カリを表層施用した.処理区として,Ca型,Fe型,Al型リン酸を各々60〜240P kg ha^<-1>の範囲で3水準に設定した計18区を設け,ポット試験を行った.Fe_3(PO_4)_2,FePO_4,AlPO_4及びCa_3(PO_4)_2区では生育が著しく劣る結果が得られた.一方,Ca(H_2PO_4)_2,CaHPO_4の120,240 kg ha^<-1>施用区では生育は顕著に増大したが,240kgha^<-1>区では,薬の過繁茂を生じ,靭皮,木部の収量の増加が抑えられた.従って,土壌中の有効態リン酸含量が低い場合,水溶性リン酸を主成分とするリン酸質肥料を,120P kg ha^<-1>施用することが適当と思われた. 2.施設栽培後の養分集積土壌におけるケナフの栽培試験 近年,集約多肥栽培による土壌への養分集積が問題となっている.そこでケナフを集積養分除去のためのクリーニングクロップとして利用できるか検討した。農学部内の作物栽培後の施設栽培圃場で,栽植密度が50万本(K-H区)及び25万本ha^<-1>(K-L区)となるように,ケナフを無施肥で播種,栽培した.比較のためにソルガム栽培区(50万本 ha-1,S区)並びに無栽培区(C区)を設けた.土壌のEC,無機態-N含量,交換性Kは,K-H,K-L,S区では栽培の経過に伴い低下したのに対し,C区では栽培期間を通じて他の区よりも高く推移した.単位面積当たりの土壌から作物が吸収除去した養分量は,N,P,K,Cu,Zn,FeはS区が高かったが,Ca,Mg,MnはK-H区もS区と同等かそれ以上であった.従って,土壌に集積したCa,Mg,Mnの除去という目的では,ケナフも優れていると思われた.
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