粘液型脂肪肉腫におけるTLS-CHOP遺伝子の解析
Project/Area Number |
07770121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human pathology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 雅彦 東京大学, 医学部(医), 助手 (80251304)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 粘液型脂肪肉腫 / キメラ遺伝子 / TLS / CHOP遺伝子 |
Research Abstract |
私は、TLS/CHOPキメラ遺伝子の発現と脂肪肉腫の臨床像との関係を明らかにすることを目的に粘液型及び円形細胞型脂肪肉腫、粘液型脂肪肉腫との鑑別が困難な粘液型悪性線維性組織球腫、更に多形型脂肪肉腫の検体を用いたRT-PCRによる解析をおこなった。TLS/CHOPのキメラ遺伝子は、粘液型と円形細胞型の脂肪肉腫においては全例で発現していることを示し、更に以下の点について明かにした。 (1) TLS/CHOPキメラ遺伝子には複数のvariant formが存在すること。 (2)円形細胞型脂肪肉腫においてもTLS/CHOPキメラ遺伝子が発現しており、この腫瘍が粘液型脂肪肉腫と共通の遺伝子異常を持つものであること。 (3) TLS/CHOPのvariant form Type IIの発現が、円形細胞型脂肪肉腫に特異的である可能性があること。(以上Am J Pathol 1995, 147 : 1221-1227) 特に、予後不良の円形細胞型脂肪肉腫に関する(3)の知見は、TLS/CHOPキメラ遺伝子のvariant formのtypeを明かにすることが、治療の指標となる可能性を示すものである。 さらに、私は、t (12 ; 16)転座によって特異的に出現するCHOPの遺伝子産物に対する抗体を作製した。本抗体は、凍結標本では、内在性のCHOPとは反応せずTLS/CHOP遺伝子産物を特異的に認識することが確認された(投稿準備中)。現在、この抗体に関して、更に多くの症例に関し検索すると同時にパラフィン切片での応用を検討している。 現在までに、TLS/CHOPキメラ遺伝子の生理学的な機能は明らかにされていない。この点に関しても本研究では前脂肪細胞を用い検討を加えた。その結果、前脂肪細胞にTLS/CHOP遺伝子を導入することにより、これらの細胞が成熟脂肪細胞への分化能を失うこと、及びTLS/CHOP遺伝子が前脂肪細胞においてtransform活性を示すことが示された。さらにTLS/CHOP遺伝子を導入した前脂肪細胞をヌードマウスに移植すると、組織学的に粘液型脂肪肉腫に類似した腫瘍が形成された。この結果は粘液型脂肪肉腫の腫瘍発生に直接的にTLS/CHOPキメラ遺伝子が関与していることを示すものである(投稿準備中)。
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Report
(1 results)
Research Products
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