Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
我々はこれまでに,低転移性であるヒト骨肉腫培養細胞OSTを用いて,細胞外マトリックスの分解に関わるMMP-9の発現が,浸潤転移にどのような役割を果たしているかを調べてきた.今回は,OSTにおける各種インテグリンの発現をRT-PCR法を用いてスクリーニングし,TNFα刺激によりどのインテグリンが増加あるいは減少するのか調べた.また,Fibronectin(FN),vitronectin(VN)をリガンドとする細胞接着試験を行った,さらに,細胞内伝達機構を調べる目的でPKC assayも行った. 結果と考察 未処理OSTはα2,α3,α5,α6,αv,β1,β3,β5を発現しているが,TNFα刺激を受けるとα5の発現が激減した.免疫沈降法においても細胞表面のα5の減少が示された.αv,β1,β3,β5の発現には差は見られなかった.細胞接着試験では,FNに対する接着性に差はなかったが,VNに対する接着性はTNFα刺激で有意に低下した.またPKC活性はTNFαにより有意に低下した.FNは現在までに,FN分子中の細胞接着に関与する構造はRGD配列であることがわかっており,主としてα5β1(VLA-5)インテグリンがこの配列を認識する細胞膜レセプターであると言われている.OSTではα5の発現低下により正常に機能するフィブロネクチンレセプターの合成が障害され,基質に対する接着性の低下が運動能の増加をもたらし,さらにはMMP-9の分泌増加と相まって最終的にOSTの転移の増加につながったのではないかと推測している.PKC assayにおいて,protein kinaseの活性化剤として知られているPMA刺激でもPKCの活性が低下したので,OSTではインテグリンによって引き起こされる細胞内伝達機構にalternative pathwayがある可能性が示唆された.
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