肝細胞癌におけるFas抗原の発現とFas抗原を介したアポトーシスの誘導
Project/Area Number |
07770171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
矢野 博久 久留米大学, 医学部, 講師 (40220206)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | Fas抗原 / アポトーシス / 細胞障害性T細胞 / 肝細胞癌 / 免疫染色 |
Research Abstract |
我々は肝細胞癌におけるアポトーシス発現のメカニズムとして、アポトーシス誘導蛋白であるFas抗原の関与について検討した。すなわち、当大学で切除された25例の肝細胞癌とその非癌部肝組織より凍結切片を作製し、肝細胞癌とその非癌部肝組織におけるFasの発現を免疫組織化学的に検討し、さらにcytotoxic T lymphocyte (CTL)の浸潤とFasの発現の関係を検討した。さらに免疫染色に用いた症例の癌部・非癌部よりパラフィン切片を作成しH. E染色を施し、顕微鏡下にapoptotic cellの出現数を計測した。その結果、非癌部ではすべての症例でFas抗原の発現を認めたのに対して(100%)、癌部ではFasの発現頻度が低く(77.8%)、かつその発現強度も弱いことが判明した。またFas抗原の局在は、非癌部では細胞表面と細胞質に陽性像を認める症例が多かったのに対し、癌部では細胞質のみに陽性像を示す症例が多かった(67%)。各症例における非癌部と癌部のFas抗原の発現を比較すると、癌部のおけるFas抗原の発現の減弱あるいは消失が59.3%に認められた。切除肝におけるCTL浸潤は、癌結節あるいは偽小葉や小葉の辺縁部に多く、またCTLの浸潤程度に比例してFas抗原、特に細胞表面のFas抗原の発現が増強する傾向を示した。肝細胞癌および非癌部におけるアポトーシスに関しては、Fas陽性例では癌部、非癌部ともに、その中心部よりも辺縁部でアポトーシスの出現が増加していた。また癌部でのアポトーシスの出現はFas陰性群に比べ陽性群で増加し、さらに細胞質陽性群よりも細胞表面陽性群で増加していた。今回の検討により、肝細胞癌におけるアポトーシスの出現にはFas抗原の発現、特に細胞表面でのFas抗原の発現の有無が関与している可能性が示された。またCTLの浸潤がFas抗原の発現やアポトーシスの出現を増強させる可能性も示唆された。
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Report
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Research Products
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