Research Abstract |
我々は今年度、細菌内毒素によるアポトーシス誘導作用を用いて、生体防御機構に関わる様々な情報を得ることに成功した。 マウスに大量の細菌内毒素を投与した場合、胸腺細胞に大量のアポトーシスが誘導された。これは腫瘍壊死因子(TNF-α)とグルココルチコイドの共同作用によるアポトーシスであることが明らかとなった。(Kato, Y., Morikawa, A., et al. 1995 FEMS Immunol. Med. Microbiol. 12, 195-204)。また、D-ガラクトサミンと細菌内毒素を投与することによって、肝細胞に広範にアポトーシスが誘導された。これは、TNF-α単独作用によるものである(Morikawa, A. Sugiyama, T. et al. 1996 Infect. Immun. 64, in press)。このほか、細菌内毒素を用いたシュワルツマン反応の実験モデルでは、マウス血管内細胞にアポトーシスが認められた。このアポトーシスの発生機序については現在検討中である。 このほかマウス腸管上皮組織中のTリンパ球が腫瘍細胞に対して細胞傷害活性をもつこと、この細胞傷害活性がアポトーシス誘導因子のひとつであるグランザイムAに依存していることを証明した(Y. Kato, T. Yokochi, et al. 1995 Microbiol. Immunol. 39(4)291-294)。
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