Research Abstract |
1.In vivoの代謝実験:代謝され易い物質(m-xylene; m-Xとtrichloroethylene; TRI)及び代謝され難い物質(1,1,1-trichloroethane; 1,1,1)をモデル物質として、混合暴露における体内動態を単独暴露の場合と比較した。ラットにm-X、TRI及び1,1,1を単独あるいは混合で6時間吸入暴露した。それぞれの溶剤の暴露濃度は35ppmと350ppmの2段階を用いた。m-XとTRI及びm-Xと1,1,1の混合暴露における共存する溶剤の濃度も、それぞれ35ppmと350ppmの2段階に設定した。暴露後の母物質の血中濃度、暴露中・暴露後のそれぞれの代謝物の尿中濃度を測定した。代謝され易い溶剤どうしの混合暴露でも、代謝され易い溶剤と代謝され難い溶剤の混合暴露でも、それぞれの単独暴露に比較して、共存する溶剤の濃度が低い(35ppm)ところでは互いの体内動態に影響を及ぼさないが、共存する溶剤の濃度が高く(350ppm)なると代謝の抑制が起こった。 2.In vitroの代謝実験:混合暴露における代謝阻害のパターンを解明するために、m-XとTRI及びm-Xと1,1,1の混合におけるin vitroの代謝速度をそれぞれの単独の場合と比較した。ラット肝ミクロソームを用いて、m-X、TRI及び1,1,1の単独あるいは混合における代謝速度を測定した。それぞれの溶剤の基質濃度は、0.02,0.04,0.10,0.50mMの4段階を用いた。m-XとTRI及びm-Xと1,1,1の混合における阻害物質の濃度は、それぞれ0.02と0.50mMの2段階に設定した。代謝され易い溶剤どうしの場合でも、代謝され易い溶剤と代謝され難い溶剤の場合でも、基質濃度が0.02〜0.10mMまでの代謝速度はほぼ直線的であった。また、阻害物質の濃度が低い(0.02mM)ところでは互いの代謝に有意な影響を及ぼさないが、阻害濃度が高く(0.50mM)なると有意な代謝抑制が起こった。この場合の代謝阻害のパターンは、基質濃度の高低にかかわらず非競合阻害に近似した。
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