Research Abstract |
1)疫学モデル作成 某企業における職域健康診断受診者で5年間継続して追跡可能な者を対象として,健康診断の検査成績と生活様式の推移についてのデータベースを作成した。 2)検査値予測システムの開発 1)で作成した疫学モデルを基にして,次年度の検査値を目的変数,初年度の検査値と生活様式を説明変数として数量化I類による解析を行い,検査成績と生活様式とから次年度の検査値を予測する健康危険度予測(Health Risk Appraisal;HRA)システムを開発した。検査項目としては,血圧,空腹時血糖,総コレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪,尿酸,肝機能検査(GOT,GPT,γ-GTP),生活様式としては,肥満,飲酒,喫煙,運動,朝食摂取,睡眠時間,間食を用いて解析した。 具体的な指導は,(1)現在の生活様式の中で検査成績の異常をもたらす項目の指摘,(2)現在の生活様式を持続した場合の次年度検査値の予測,(3)生活様式を改善した場合の次年度検査値の改善度,の3点についてコンピュータ画面を見せながら行う。このシステムは,パーソナルコンピュータによる生活指導支援システムであり,医師,保健婦および看護婦といった医療スタッフが健康診断受診者の事後指導の際に使用することを前提としている。本システムによって総合健診の評価方法に関する標準化が可能となり,従来の経験に依存していた生活指導に再現性,普遍性を持たすことが出来ると考えられる。また,本システムでは,指導を行う者と受診者との間にいわゆるインフォームド・コンセント(説明と同意)がなされ,個人のコンプライアンスを十分に引き出すことが可能と考えられる。
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