マウス肝臓癌発生におけるH-ras遺伝子の役割についての検討
Project/Area Number |
07770387
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Gastroenterology
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
常松 令 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (80217356)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | トランスジェニックマウス / 四塩化炭素 / 肝腫瘍 |
Research Abstract |
腫瘍の発生には癌遺伝子の突然変異による活性化または過剰発現が重要と考えられている.これまで我々はヒトプロト型H-ras遺伝子導入トランスジェニック(Tg)マウスに四塩化炭素を慢性投与することによりnon-Tgマウスに比べ約5倍の肝腫瘍発生がみられることを報告してきたが,この際導入H-ras遺伝子に突然変異による活性化はみられず,腫瘍発生には突然変異による活性化は直接関係しないことが明らかとなった. ヒトプロト型H-ras遺伝子導入Tgマウスはそもそも肝臓内で正常の2-3倍のH-ras遺伝子の発現があるが,一般にH-ras遺伝子が線維芽細胞をトランスフォームするには少なくとも正常の10-100倍のH-ras遺伝子発現が必要とされている. そこで今回,Tgマウスに四塩化炭素を慢性投与した際,H-ras遺伝子発現量に変化があるかどうか,マウス肝臓よりmRNAを抽出することによりcompetitive PCR法にて測定した.その結果,四塩化炭素を慢性投与することにより,前回の実験と同じく,Tgマウスではnon-Tgマウスに比べ5倍の肝腫瘍発生がみられ,Tgマウスでは肝細胞癌の発生もみられたが,H-ras遺伝子発現量はTgマウスに生じた肝細胞癌においても四塩化炭素非投与群と同様,non-Tgマウスに比し2-3倍の増加のみで,細胞を単独でトランスフォームするような発現増加はみられなかった.以上より,マウスにおいて,プロト型H-ras遺伝子の発現は,たとえ単独で腫瘍発生させるのに不十分な量でも,四塩化炭素慢性投与により肝細胞に繰り返す壊死再生をおこすことにより,肝腫瘍発生促進的に作用していることが示された.
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)