乳酸脱水素酵素筋型サブユニット欠損症における異常蛋白発現の検討
Project/Area Number |
07770450
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurology
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
清水 秀昭 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (70270981)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 乳酸脱水素酵素 / 遺伝子異常 / 嫌気生解糖系 / 好気性解糖系 / ピルビン酸 / グリセロール3リン酸脱水素酵素 |
Research Abstract |
乳酸脱水素酵素(LDH)は筋型(A型)と心型(B型)の2つのサブユニットからなるテトラマ-構造をとり、5型のアイソザイムを形成する。筋型サブユニットは主に筋肉で発現し嫌気性解糖系の最終段階でピルビン酸が乳酸になる反応を触媒している。 我々はすでに激しい運動によりミオグロビン尿症を来す男性の家系(第1家系)と、運動によりほとんど症状を来さない女性の家系(第2家系)においてLDHのA型サブユニット欠損症(共に筋のLDH活性は5%以下)を見出しており、第2家系においてエキソン6の20bpの欠失を報告した。そこで今回は第1家系の遺伝異常を同定するとともに、異常蛋白の筋組織内の発現と両家系の間で異なる臨床症状との関連を検討した。 その結果、第1家系の遺伝子異常も第2家系と同様にエキソン6の20bpの欠失であることが判明した。また異常蛋白は両家系共にLDH-A特異抗体による免疫組織染色で正常と比較し、わずかに同定された。そこで実際に好気性の運動負荷を加える試験と、生検筋を用いたin vitro系の嫌気的解糖系で両家系の患者の症状の差を検討した。 好気性運動負荷では両家系2名ずつの患者において最大酸素消費量が第1家系では正常の約73%、第2家系では約92%であった。また呼吸交換率はいずれも1.0以上であった。このことはピルビン酸を経た好気的解糖系は両家系とも比較的よく保たれているが、症状の強い家系の方がよりピルビン酸の産生が抑制されていることが予想された。実際生検筋のホモジネートにグリコーゲン、ブドウ糖、G6P、FDPの基質を各々加えて、中間代謝産物を測定すると、ピルビン酸の産生は第1家系では正常の約35%、第2家系では約65%と差が認められた。またこの差はグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素へのNADの供給の差として生じており、この原因がグルセロール産生を行う別系のグルセロール3リン酸脱水素酵素の活性の差(両家系で3倍の差があった)に起因することが明らかとなった。これらの結果より両家系の臨床症状の差はピルビン酸産生の差がその一因となるということが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)